馬鹿馬鹿しい仕事

その昔、駅に隣接する現場に勤めたことがありました。

不動産会社系列のビルメン会社で、設備員が詰める事務所(中央監視室でない)は極限まで狭くて夜勤があるのに仮眠室はなく、事務所の端にある1畳くらいのスペースに2段ベッドが置いてありドアで区切られていました。

仮眠を取っても事務所のやり取りが筒抜けで声も何もかも聞こえてくるのでまともには眠れませんでした。仮眠だからいいじゃないかという向きもありますが、24時間勤務で数時間でも眠れないと辛いです。その辺の考慮は一切なくて設備員も使い捨てなような環境でした。

商業施設もマンションも駅に隣接していて苦情も多く、無駄に忙しかったです。

タイトルの「馬鹿馬鹿しい仕事」というのは、そんな現場での駅で起きた事件についてです。

当然ですが駅は人が多く出入りするところで、しかも犯罪発生も商業施設やオフィスビルの比ではないくらい起こります。

そこの駅では常習盗撮犯が出没していました。駅から出てすぐのエスカレーター付近に監視カメラがあって、それを設備事務所で観ることが出来たので上司から「捕まえろ」という指示が出たのでした。

捕まえろ、と言われても何の訓練も受けていませんし犯人が逆上して暴れるかもしれません。

そういうことには一切言及は無くてただ「捕まえろ」です。

設備の雑務なら分かるのですが、事件の犯人を捕まえるというのは警備員でもなかなかやりたがらない案件です。警察官でない限り捕まえる側にもリスクがあるからです。そもそも逮捕権などありません。

命令した上司というのは40代初頭くらいの何かスポーツをやっていただろうないう体つきの営業職を兼ねたイケイケ茶髪おじさんで、ウケがいいことならなんでもやるタイプの関西人でした。

会社側も現場の意識はとにかく高くなきゃ駄目だ、という感じでして

そのイケイケ上司は売上も挙げていたせいか会社側から何も言われることはありませんでした。

設備員として入社したのに、何故そんなアホみたいなことをさせられるのか分かりませんでしたし不信感も凄かったです。

他にも不満はあって非正規の爺様たちが居たのですがその人たちの性格がとにかく悪い。

私たち正社員の設備員も何も出来ませんでしたから悪いんですけども、爺様たちは事あるごとに「あんたらは正社員なんだから」と全て押し付けてくるのです。

自分たちが出しゃばって何かするのに尻ふきはこちらに投げてくるような駄目現場あるあるの状況でした。

私が後悔したのはそもそもその現場は面接で使われていて、見学した時点で駄目な臭いがしていたのです。

それなのに結局入社してしまいました。同じ時期に少し遅れて内定を貰っていた商業施設があったのですが先に内定を貰ったからという理由で駄目現場に決めてしまったのでした。

世の中は気を使って良いカッコをしたがるマヌケは酷い目に遭います。先にだろうが後にだろうが内定を貰ったなら良いと思った側に行くべきです。内定を蹴ったってその会社の人間に遭うわけでなし恰好をつける必要はなかったのです。

結果、短期退職することになってなんのための就職なのか分かりませんでした。

そうは言ってもまだ理不尽だな変だなと思って逃げられるだけ私はマシだなと思います。

ニュースを聞いていると死にそうな目に遭いながら罵倒されあるいは暴力まで振るわれて会社にしがみ付いている人が居ます。

私なら秒で退社します。暴言や手を出されたなら警察に行きます。事件にして絶対取り下げません。

もし面接でもなんでも、現場を見学した後でもいいです。直感で「この現場駄目だな」と思えたなら、その直感はだいたい当たります。

現場の人の顔つきも大事です。よく見ておいてください。

無駄な時間を過ごさないように気を付けられてください。

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コメント

  1. 赤い左辺 より:

    商業施設を上回る現場とはキツイかったですね。
    それにしても犯人を捕まえろなんて、何か一線を越えているような人の使い方だと思います。「窮鼠猫を噛む」といいますが、追い詰められた人間は何をしてくるか分かりません。ここだけを見ても使い捨ての雇用だと思えます。

    会社側もその現場で面接をするとは・・。ダメな現場の空気を読み取られて逃げられるという認識が無いように思えます。感覚が根本から違うと思います。

    ビルメン会社選びで「ダメだな」と感じたときの直感は大事ですね。birumanさんが普段から現場見学を勧められているのはこういうことなのですね。求人票だけでは内情を知るのに限界があるので「入社してみないと分からない。結局は運」と言われますが、見学できるなら絶対した方が良いですね。

    私も転勤の話が来れば、現場を見せてもらおうと思います。

    • biruman より:

      >左辺さん
      コメントありがとうございます(^-^)

      その会社に決めた時、悪い方に決めてしまったという気持ちが爆発して
      吐き気が止まりませんでした笑
      就職が決まったのに嬉しくないどころか体調が悪くなったのは人生で一度だけです。

      左辺さんがおっしゃるとおり直感が大事なのですが
      長い間就職が決まらないと焦りもありますし安易に地雷現場に踏み込んでしまうということもあります。
      貯金が尽きないうちに早め早めに動いて選択肢を増やすしかないですが焦ると運が逃げるのか
      決めたいところには決まらず大体変な会社・現場に決まってしまいます。
      あれは不思議です。心に余裕を持って動けるように普段から貯金に励んでやっていければと考えています。

  2. FW190D-9 より:

    タイトルの趣旨に合うかどうか少々疑問ですが以前病院で施設管理していた時の話です。
    その病院では入院患者さんがトイレの個室で隠れて喫煙し度々ボヤが生じる(トイレットペーパーに引火)のに苦慮していました。
    対策としてタバコの煙に反応し鳴動する検知器の設置(自火報連動ではありません)の方向でしたが、看護部長が「監視カメラを付けろ」と宣いました。
    さすがに人道的・倫理的にどうかという意見が大多数でしたが看護部長は強硬に監視カメラを主張します。看護部長は病院でナンバー3なのでナンバー2の院長のところに行って看護部長の説得をお願いすると尻込みします。
    看護部長は200名近い看護師のトップなので看護部長のご機嫌を損ねると看護師が医師の言うことを聞かなくなる恐れがあります。院長は看護部長を敵に回したくありませんでした。
    なので病院トップの理事長のところに行きなんとか看護部長を説得していただきました。この現場ダメだなとその時思いました。

    • biruman より:

      >FW190D-9さん
      法令より自分が上だと考える人が居るとかなり面倒ですよね。
      トイレに監視カメラを着けるのはいいですが患者が病院を訴えたなら
      賠償金は払わないといけないわマスコミは大挙して来て病院の評判は落ちるわ
      そこまで考えて主張しているなら良いんですが…。
      酔っ払いの思い付きみたいな感覚で仕事をして貰うと困りますね。
      面倒な煽りを喰らうのは下の者ですので。

  3. おとぼけビルメン より:

    御久し振りに、カキコします。想像を超えたクズ現場に、クズ上司典型クズ現場ですね、
    そう言う上司に限って全責任は,俺が取るといいつつ即逃走、矢面に立った上司なんて
    1、2人しかいなかったです(そう言うひとは、普段威勢のいいことは言いません)
    そんな人から逃れるために、電3種を取得したのに、改正後試験の状態を見てあぜんとしました。3種はオワコンと言われても仕方ないいや、それ以下の感じがします。
    6科目時代合格の人が、4科目科目合格保留制度にオワコンに感じ、今回の改正で、完オワに感じました。もう2種取得しかないですね、それも改正で2種神話が崩れるなら時代の流れです。大きな流れには、逆らえません。

    • biruman より:

      >おとぼけビルメンさん
      上司っても別にマネジメントやってくれるわけでなし
      中途がメインのビルメン会社では自分も含めて器ちっさい人しか居ないのは仕方ない所です。
      私も当時は諦念して勤め、そしてすぐ遁走しました。

      試験が簡単になった…とのことですが

      15年くらい前に司法書士の先生の講義を受講したことがありまして
      その時「司法書士になれば将来安泰なのでしょうか」とよく聞かれると話されていました。
      「あのねぇ」と先生続けて曰く
      「司法書士取ったら将来安泰かは分からないですよ。何をやれば安心ってことはないです。
      そんなものはこの世にはないです。」
      「ただ、司法書士に通るくらい勉強すれば、他の分野に行っても
      ある程度のところまで行けます。それくらい勉強量のある試験です。」
      との事でした。

      あの試験に通ったから、この道を進んだからという事で成功の近道を進んだつもりでも
      特に国、役所の許認可事業の場合あっさりひっくり返されることがあると思います。
      その場合でもそんなに慌てずにおられるようになるための普段の勉強なのかもしれないな
      と普段勉強していない私も考えたりします。偉そうで申し訳ないです。

      管技の方と話す機会が増えてきて、個人的にはやりがいを感じます。
      生きられるところまで生きて出来れば最期まで仕事できればいいなと考えています。

    • らみみ より:

      横から失礼します。
      >おとぼけビルメンさん、birumanさん
      確かに今回の3種の制度改正によって難易度が低下したように思います。

      こんなことを言うような器の小さい人間ではありますが、当時の難易度の高い状態で取得した人と、改正後の難易度が下がった状態での人が同じ扱いというのは、前者の人が不利益を被ったと感じることを禁じえません。
      自分も4科目科目合格制度をフル活用して3年がかりで平成最後の年に取得したクチですので偉そうなことはいえませんが、新制度のキモを理解して各々なりに効率よく取得を目指すというのは当たり前のことだと思うのでそこに対して何かいうつもりはありません。
      懸念されるのは単純に試験が易化したことで資格の価値が落ちることではありますが、そこはbirumanさんのいうとおり、(改正前の)3種が受かるほどの努力ができる人間なら、他の資格もある程度通す努力ができるのだから、と自分に言い聞かすしかないと思います。
      ただ、改正後の3種の努力と改正前の3種の努力との差分の時間を他の資格への努力に充てることができたと思えば、やはりやるせなさは感じます。

      縁あって自分は一旦ビルメン業界から離れることができますが、(すぐ戻らざるを得なくなるかもしれませんが)その際もこのことを忘れずに、努力を重ねていきたいと思います。