しなくていい我慢はしないようにしましょう

常駐の設備でビルメンをやっていると色々な人が来ます。

ある時派遣で50代の人がやってきました。

一見普通の人でしたが、普通じゃないところが一緒に働いているうちに少しずつ見えてきました。

症状が

そこの設備は面積が広めで覚えることは確かに多かったのですが、だいたい2週間くらいでひとりで日常点検のルートくらいは回れるようになりました。

しかしその50代派遣の人は3週間、1ヶ月と経っても一向にルートを覚えられないのです。

また教えたことを殆ど吸収してくれないのでだんだん教える側も「ん?」となってきました。

吸収してくれないというのは教える側が悪い場合も多いのですが、そんなに難しいことをやっている訳ではありません。巡回なんて散歩のコースみたいなものです。

おまけにすごい怒りっぽくて元から働いている人とぶつかったりすることも多くなってきました。

普通に雑談することもあったのでよく聞いてみると以前は廃品リサイクル工場のようなところで働いていたそうです。

そこでひたすら蛍光灯を割っていた、と話していました。それがメインの仕事だったようです。

蛍光灯といえば有害物質の水銀蒸気が思い浮かんだので、それなりの装備をしていたのかと聞くとマスクすらロクに着けずにやっていた、と…。それもかなり長い期間。

その話を聞いて数カ月後にその派遣の人は実質クビになりました。

非常に感情の起伏が激しく同僚を脅すような発言を繰り返し、また数ヶ月経っても日常点検すら覚えられなかったので契約満了前に元請けから派遣会社にクレームを入れて途中解約になりました。

働いている人たちは「軽い認知症だったのではないか。」と言っていましたがリサイクル工場で辛抱強く働いていたのが災いしたのではと考えています。

「石の上にも3年」は嘘

「最低でも3年我慢しろ」なんて言われますね。

でも私は自分が飽きっぽく働いてきたことを差し引いてもこれは嘘だと思っています。

特にビルメン業界は。

たぶん3年我慢したほうがいい、というのは新卒カードをきちんと切れた人たちの話です。

せっかく大手に入れて辞めるのは勿体ないというニュアンスの言葉です。

それはそうです。良い大学を出て、良い会社に入ったのに

「なんとなくこの仕事は合わなそうだ」

で辞めてしまうのはすごく勿体ないですから。

中途で入ったビルメン会社とは訳が違います。働いていて合わなければ部署異動をお願いすればいいだけです。

窓際だろうと適性のある部署に異動になれますからそれこそ辞めるのは有り得ません。

そういう新卒でしか入れない会社と違って中途で入った会社というのは、社員も会社もお互いに愛着がない訳です。

だから会社は社員を使い捨てにします。

使い捨てというのはないだろうと思われているかたにお伺いしますが、それではあなたの勤務されているビルメン会社では「社員教育」は行われていますか?

新人であれば専用の社員教育所に送り込まれて半年は教育のみに専念して教えて貰えますか?

たぶんいきなり現場に放り込まれて適当なOJTで終わりではないですか?

OJTと言っても現場の古老がクチからデマカセのことを言うだけ、ではないですか?

だから社員の側から片思いで会社に忠誠を誓う必要は微塵もないと思います。

冒頭で話した人のように危険な産廃がらみの仕事をさせられて自分も気づかないような病気になり調子が悪くなったらサヨウナラ。

それが底辺労働者の働き方だ、というのはそれはそうなのですがそこまで分かっていてあえて騙される必要もないのではないかということです。

こういう面でいうと世の中を斜めに見てもいいと思います。

「いやせっかく採用してくれたんだし…。」

そうですね。けれどあなたも労働という対価で返しています。引け目に感じることはまったくありません。

「この仕事(現場)はダメだわ。」

と感じたならさっさと辞めましょう。

しなくてはいけない我慢とは

しなくていい我慢はだいたい分かりました。

それではしなくてはいけない我慢とはなんでしょうか。

我慢しなくてはいけない場面など殆どありませんが、あえていうならお金でしょうか。

お金が貯まるまでの間や資格を取るまでの間は少しくらいよくない職場でも我慢する必要があります。

例えば30代から夜間の電気専門学校に通って電験の認定を取るためにお金を貯める、などですと十分我慢に値することです。

我慢に値する、と我慢に価値を見出すのはまたちょっと変なのですが結局要するに納得できるかということに終始します。

自分の歩いてきた道に対して今行われている仕打ちが納得できるか、ということですね。

人は工業製品のように一律で作られるわけではありません。

たとえばネグレクトの親に育てられたりすればそれだけでかなりスタートラインが下がります。

自分が悪くなくても自分の身に起こっていること、やられてきた、やってきたことを冷静になって考えて納得できるかということです。

納得できないのであればその環境を捨てましょう。

納得はできないが、今は身を伏して耐える時だと考えるのであれば努力しやすい環境を探しましょう。

また花の咲きやすい努力目標を立てることも重要です。

電験ですと3種なら努力で取得できます。そして3種を取得すればビルメンとしては上位とはいかなくても中位にはなれます。

しなくてはいけない我慢というよりはしたほうがいい我慢でしょうか。

新卒カードを切り損ねて学校でやらなかった、やれなかったぶんをどこかである程度やり直す必要はありますのでどこかの瞬間でチカラを蓄える必要はあります。

足が擦り切れるまで逃げる

逃げない動物は人間だけです。

危険だと感じたら人間以外の他の動物は逃げます。

それでも逃げない瞬間があるのは自分より大切な価値が存在する場合くらいでしょうか。家族や友達などです。

そうでなくて、自分のことのみであればサッサと逃走するのがいいです。

責任を取るのは自分です。ガタガタ言われる筋合いはありません。あなたの人生です。

そもそも真面目にやってるつもりでも「お前のことは嫌いだ」と言う人が出てくるのが人生です。

ですので真実一路でやっていくのはあまりいい傾向ではないのではないかと思います。

要は適当にやって結果が出るのを待つというのが中途採用人生の方向性ではないですか、という提案です。

もちろん

「ビル万は何を言ってるんだ。俺は逃げずに頑張る。」

というのもアリです。当たり前です。働き方に道徳なんてありません。経営者に道徳がないのと同じ事です。

賢く立ち回れなんていうつもりもありません。賢く立ち回れないからビルメンな訳ですから。私も同じビルメン畑の人間ですし不器用に行きましょう。

ながながと書きましたが「面倒なことからは逃げましょう。」というのが結論です。

怠け者のビルメンらしい締めになりました。

嫌なことからは徹底して逃走、これが中途採用ビルメンの生きる道ですね。

わたしたちはエリートではありません。そもそもエリートはビルメンにはなりません(笑)

使い捨てにされるのは分かっていますので、お互い良い使い捨てられ方を模索していきましょう。

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コメント

  1. ヤード より:

    僕が働いている現場にも50代、60代の人がたまに入ってきますが
    まともに仕事が覚えられなかったり同僚とケンカして辞めてしまう人が
    たくさんいます。
    ものすごく暇な一人現場でやる事なんか限られているのに・・・。

    他の仕事でまともにやってなけくて、たどり着くのがビルメンなのかもしれませんね・・・。

    • biruman より:

      >ヤードさん
      コメントありがとうございます。

      1人現場ということは毎日朝交代でしょうか。
      その引き継ぎの時に喧嘩してしまうんですかね?

      不思議な事なのですがビルメンは年功序列に凄く拘っている人が多いです。
      「お前は年下なんだから。」とか「あいつは年下だから言うこと聞く必要はない。」など。
      流石に普段声高には言いませんがそういう思考状態ですのでその50代、60代の人たちが
      年が下の責任者などから指示を受けたりすると喧嘩になります。
      社会性の欠如と言えばその通りでして中学生辺りのメンタリティで働いてて誰も訂正してくれる人に出会わなかったのでしょうね。
      そういう人とは距離を取っておきたいものです。

  2. 180 より:

    俺の場合、未経験でいきなり現場に放り込まれて「分からないことは聞け」
    でもって、分からないことを聞くと「そんなことも分からないのか」

    「今度来た新人は使えねえ」とか言ってるのを聞きました。
    まあ、俺は今年あたりでクビになりそうですけどね(笑)

    • biruman より:

      >180さん
      コメントありがとうございます。

      ビルメンあるあるでして、まあ「分からんことは聞け」というおじさんはどこにでも居ますが
      聞かれると逆ギレしたりするのはビルメンに多いですね。
      なんでキレるかというと、聞かれた方も分かっていないのでキレて誤魔化すしかないんですね。
      ビルメンの仕事で分かっていないといけないのは、巡回の道順くらいで賢い犬くらいのレベルで勤められるからビルメンは楽な訳です。
      電気や衛生設備やその他の難しいことは業者に丸投げする電話が出来ればいいのでこれは賢い犬レベルを超えていてその部分がビルメンの給与だと
      考えれば薄給でも致し方無しという感じではないでしょうか。

      仕事の悪口を書くと天に唾するようなものでしてあまりお勧めはできませんが結構当たっているのではと思います。
      薄給ですが楽で、宿直の職場でスマホを10時間くらいイジっていても文句を言われないのですから
      「使えねえ」とか言ってるおっさんは気にせず勤められ続けるのが宜しいかと。
      だいたい、言ってるそのおっさんも社会的には使えないからビルメンなんですから。

  3. きっくん より:

    お久し振りです。
    ビルメン会社、激務現場だった為、退職しようと思い、責任者に相談したところ別の現場に異動となりました!
    前の現場と違い仕事量、難易度は半分以下になり、宿直の夜時間はトラブルが少なく定例業務、自分の業務が片付けば資格の勉強も出来ます。しかしそんな現場は長くはいれないので資格を取って次に備えたいです。

  4. きっくん より:

    今はビルメン業界は人手不足でしょうか?弱音を吐いた私を残してくれたので…。
    辞めさせないのは、
    私のスペック(34才と会社では若い方、保有資格は4点と消防とビル管)よりも人手不足と責任者の管理能力の評価に依るところが大きいも思いますが…。
    今後の為には電験3種の取得に向けて勉強中ですがなかなか難しいです。他にお勧めの資格は有りますか?ご教示下さい。

    • 田舎ビルメン より:

      >きっくんさん
      年齢(若さ)とビル管持ちは大きいですよ。
      電験のほかだったら、意外なところで不動産関係で入門編の宅建はどうでしょうか?

      • biruman より:

        >田舎ビルメンさん
        一番大切なのは「若さ」ですよね(笑)
        都会に行けば若いというだけで採って貰えたりします。
        ただブラックを引いてしまって大変な思いをすることもありますが…。

    • biruman より:

      >きっくんさん
      既に田舎ビルメンさんがおっしゃられているとおり宅建をお勧めいたします。
      宅建は難易度は電験の10分の1くらいです。
      過去問は5年分をひたすら繰り返すだけで本試験で8割から9割は取れます。

      しかし何故か宅建は警備員の方が持っている事が多いです。
      これは高齢で離職した人がポリテクや民間委託の職業訓練で宅建を取得したものの
      就職先がなく結局他の高齢向けの仕事に落ち着いたという事例が多いからです。

      宅建を取得されること自体は全く無駄ということはありませんが
      ・若い(理想は30代前半まで)
      ・ある程度の都会である(理想は首都圏)
      ・車の運転が上手く、また道を覚えるのが苦でない。
      などの条件が整っていなければ就職はかなり厳しいです。

      以上の条件が揃って東京であれば賃貸でも月100万稼ぐのはそんなに難しくありません。
      独立には宅建が必須ですから無駄どころか大金を稼ぐのに必要な資格になります。
      将来自分で会社をやりたいと考えるのであって条件が揃いさえすればオススメの資格です。